世界の朝食を主食・食材から見てみよう
朝ごはんと聞くと、ご飯やパン、卵料理を思い浮かべる人も多いかもしれません。
でも世界の朝食を見てみると、お粥や麺、豆料理、とうもろこし、タピオカの原料にもなるキャッサバなど、料理の姿はさまざまです。
面白いのは、同じ食材でも、料理になるとまるで違う姿になること。
米は、ご飯だけでなく、お粥や麺、薄い生地になります。
小麦も、ふくらんだパン、平たいパン、層のある生地、揚げた生地へと姿を変えます。
「どの国で何を食べる?」だけでなく、
同じ食材が、どんな料理になっているのか。
そんなところから、世界の朝ごはんを見てみましょう。
世界の朝ごはんを、食材から見てみる
国ではなく「何を使っているか」で並べてみると、違いが見えやすくなります。
| 注目する食材・料理 | 朝食で見られる姿 |
|---|---|
| 米 | ご飯、お粥、麺、米粉の生地 |
| 小麦・パン | 発酵パン、平焼きパン、層のある生地、揚げ生地 |
| 麺 | 米麺、小麦麺、スープ・たれ・別添えなど |
| 卵 | ご飯やパン、野菜、ソースなどと組み合わせる |
| 豆 | 発酵させる、煮る、つぶす、揚げる |
| とうもろこし | 粉や生地にする、蒸す |
| キャッサバ | 根を茹でる、でんぷんを取り出して生地にする |
まずは、身近な米から見てみましょう。
米の朝ごはん、ご飯だけじゃない
日本では、炊いたご飯だけでなく、お粥も朝食として親しまれています。
世界に目を向けると、同じ「米を煮る」料理でも、仕上がりはかなり違います。
タイには、米粒が分からなくなるほどやわらかく煮るジョークと、米粒の形を残して仕上げるカオトムがあります。
同じ米を使った一杯でも、粒をどこまで残すかで見た目や口当たりが変わります。
さらに、米は煮るだけではありません。
ベトナムのバインクオンは、米粉の生地を薄く蒸し、具を包んで食べる料理です。
粒のまま食べる → 煮る → 粉にして生地にする
と、姿は大きく変わります。
では、「お粥のような朝食」だけを世界から集めてみると、違いは粒の残り方だけなのでしょうか。
米粒の残り方だけでなく、穀物・味・具の違いまで見比べます。
パンの形は、こんなに違う
パンと聞くと、ふくらんだ生地を思い浮かべるかもしれません。
でも朝食では、平たく焼く、層を重ねる、揚げるなど、同じ小麦でも姿がかなり変わります。
トルコのシミットは輪の形をした生地にごまをまぶしたパン、エジプトのエイシュ・バラディは中が空洞になりやすい平たいパンです。
モロッコのムスンメンは薄い生地を折り重ねて焼き、トルコのピシは生地を揚げてふくらませます。
輪にする・平たくする・折り重ねる・揚げる
と、同じ小麦でも形や食感の方向が大きく変わります。
さらに、「どこまでをパンと呼ぶのか」まで見ていくと、その違いはもっと深くなります。
同じ小麦でも、生地の扱い方や火の入れ方で、朝食パンの姿は大きく変わります。
朝ごはんの麺は、スープだけじゃない
アジアの朝食麺を見てみると、同じ麺料理でも、汁やたれとの合わせ方はかなり違います。
ベトナムのフォーは、平たい米麺を温かいスープで食べる料理です。
同じベトナムのフーティウには、スープに入れる形だけでなく、麺をたれで和え、スープを別に添える形もあります。
インドネシアのミー・チェロールは、太い小麦麺にエビだしとココナッツミルクを使った濃い汁を合わせます。
麺そのものが違う。
汁やたれとの合わせ方が違う。
どの街や地域の朝と結びついているのかも違う。
スープに入れる、たれを絡める、汁を別に添える。朝食麺を並べると、「汁あり・汁なし」だけでは分けきれない違いが見えてきます。
スープ、たれ、別添え、少量の汁。麺と汁の合わせ方の違いを見比べます。
卵は、朝食の中でどんな役をする?
卵は、日本でも朝食で身近な食材です。
だからこそ、世界の卵料理を並べると、調理法だけでは見えない違いが出てきます。
日本の卵焼きは、溶いた卵を味付けして焼き、巻きながら形を整える料理です。
トルコのメネメンでは、トマトや青唐辛子などと卵を一緒に調理します。
メキシコのウエボス・ランチェロスでは、卵にトルティーヤやソースを組み合わせ、一皿の朝食にします。
同じ卵でも、何と組み合わさり、一皿の中でどんな役をするかが変わります。
卵を何と組み合わせ、どんな一食にしているのかまで見ると、どんな違いが見えてくるのでしょう。
ご飯に絡む、パンに挟む、ソースと一皿にする。卵の“役回り”の違いを見ていきます。
豆が朝ごはんの中心になる
豆というと、副菜を思い浮かべる人もいるかもしれません。
でも、豆そのものが朝食の中心になる料理もあります。
日本の納豆は、発酵させた大豆を食べる身近な朝食の一つです。
エジプトのフール・メダメスでは、そら豆をやわらかく煮て食べます。
同じエジプトのターメイヤは、そら豆をつぶして形を整え、揚げて作る料理です。
発酵させる → 煮る → つぶして揚げる
と、まったく違う料理になります。
さらに、フール・メダメスやターメイヤを、エイシュ・バラディなどのパンと組み合わせて朝食にする例もあります。
豆は添え物になるだけでなく、一食の中心になる料理にもなるのです。
米や小麦だけじゃない。とうもろこしとキャッサバ
メキシコのタマレスでは、とうもろこしを生地にし、具を合わせて葉で包み、蒸して作ります。
ブラジルのクスクス・デ・ミーリョでは、とうもろこしの粉を蒸して食べます。
同じとうもろこしでも、生地にするか、粉を蒸すかで料理の姿が変わります。
さらにブラジルでは、キャッサバも朝食に登場します。
キャッサバは、タピオカの原料として知っている人もいるかもしれません。
マンジョッカ・コジーダは、キャッサバの根をやわらかく茹でて食べる料理です。
一方、タピオカでは、キャッサバから取り出したでんぷんを湿らせ、薄い生地のように焼いて使います。
根そのものを食べる → でんぷんを取り出して別の料理にする
という、かなり違う姿があります。
朝ごはんは、一食のまとまり方も違う
料理を一品ずつ見るだけでは、一食としてどう食べられるのかまでは分かりません。
メキシコのウエボス・ランチェロスは、卵・トルティーヤ・ソースが一皿にまとまります。
エジプトでは、豆料理とパンを組み合わせて食べる例があります。
フォーは、麺・スープ・具が一つの器にまとまる料理です。
一皿に重ねる。
いくつかの料理を組み合わせる。
一つの器の中でまとめる。
料理そのものだけでなく、どう一食として組み合わされているのか。
そこまで見ると、料理名だけでは見えにくかった違いが見えてきます。
違う食材なのに、似たところもある
ここまでの料理を横に並べると、別の食材なのに似たところも見えてきます。
米は、粉にして麺や生地になります。とうもろこしやキャッサバも、粉やでんぷんにすることで、元の姿とは違う料理になります。
小麦でも、生地を平たくしたり、折り重ねたり、揚げたりして、さまざまな料理が作られます。
材料は違っても、「どう姿を変えるか」に目を向けると、料理同士に思わぬ共通点が見つかることがあります。
ただし、作り方が似ているからといって、同じ文化や同じ理由から生まれたとは限りません。
「○○国の朝食はこれ」と一つには決められない
トリシエタに掲載している料理だけを見ても、同じ国の中にいくつもの朝食があります。
タイには、ジョークやカオトム。
ベトナムには、フォー、バインクオン、フーティウなど。
ブラジルにも、クスクス・デ・ミーリョ、マンジョッカ・コジーダ、タピオカなどがあります。
しかも違うのは料理名だけではありません。
使う食材も、加工のしかたも、一食のまとまり方も、地域との結びつきも違います。
何を使う?
どう加工する?
どう調理する?
何と組み合わせる?
どの国・地域で食べられている?
と見ていくと、朝食の違いが見えやすくなります。
でも、見方はそれだけではありません。
国から見てもいい。
食材から見てもいい。
似ている料理をたどってもいい。
気になった一品から、別の国へ広がっていってもいい。
世界の朝ごはんには、いろいろな入り口があります。
気になったところから、もう少し見てみよう
ここまででも、
同じお粥のような一杯でも、粒の残り方だけでは違いを説明し切れない。
同じ小麦でも、輪にしたり、平たくしたり、折り重ねたり、揚げたりする。
朝食の麺は、スープに入れるだけではなく、汁やたれとの合わせ方にも幅がある。
卵は、調理法だけでなく、何と組み合わせてどんな一食にするかでも姿が変わる。
といった違いが見えてきました。
気になったテーマがあれば、そこからもう少し深く見てみてください。
気になった一皿から、次の料理へ。
世界の朝ごはんをたどっていくと、思わぬところで似ていたり、同じように見えてまったく違ったりします。











